雫のような煌めきを放つピアノトリオのサウンドは純粋で美しい『Sketches』又賀純一郎

雫のような煌めきを放つピアノトリオのサウンドは純粋で美しい『Sketches』又賀純一郎

ニューヨーク在住のジャズピアニスト、又賀純一郎が初リーダー作、『Sketches』を発表した。又賀は日本国内での活動後、2019年からニューヨークの「アーロンコープランドスクールオブミュージック」に留学。今回のアルバムは現地で親交を深めて信頼の厚い、山田吉輝(ベース)、永山洋輔(ドラムス)とのトリオによる充実の作品となっている。

アルバムを再生すると、雫のような煌めきと儚さを湛えたピアノの音色が耳を離さない。その音は無駄な装飾がなく、自然体の美しさに満ちている。又賀が生み出すサウンドは、これまでのジャズが紡ぎ出してきた伝統に即しながら、自己の表現を織り込み、独特の世界観を形成している。

写真左より、山田吉輝(ベース)、又賀、永山洋輔(ドラムス)

繊細で叙情的な又賀のピアノがリードし、三者の音が穏やかに重なり合っていき、曲の情景が浮かび上がってくる“Midnight Shore”、又賀がアルバムの中でも注目曲として挙げている“C.C.T.”はベース、ドラムスの切れ味鋭い演奏に乗って、又賀のピアノもアグレッシブな面を表出させる。

爽やかな聴き心地の“Little Cheers”、ニューヨークの喧騒を想起させる“Scramble Crossing”や“Time to Work”など聴きごたえのあるオリジナルが並ぶ。“C.C.T.”での山田のダイナミックなベース、“Scramble〜”での永山のドラミングなど、又賀を支える2人の好演も随所に効いている。

もともとはラージアンサンブル用にアレンジしたものをピアノトリオ用に再アレンジしたセロニアス・モンクの“I Mean You”や、実際に現地のサウンドを体感したうえで又賀の中で血肉化したゴスペル曲“Total Praise”も本作の大きな聴き所だ。

現在もニューヨークに拠点を置き、自己のピアノ演奏、楽曲創作の研鑽を積んでいる又賀の存在を、日本はもちろん、全世界に向けて強くアピールする本作。ぜひその音世界の中に入り込んで存分に聴いてほしい。

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