稀有な才能がいよいよ世界に放たれた『humoresque』梅井美咲トリオ

稀有な才能がいよいよ世界に放たれた『humoresque』梅井美咲トリオ

すでに各方面で話題沸騰中のピアニスト、梅井美咲

今年に入ってから瞬く間に名前が広く知れ渡った感がある。

現在は東京に拠点を移しているが、彼女の名前は地元関西のシーンでは高校時代からよく知られていて、筆者も事あるごとに鋭敏な感性を目の当たりにしてきた。またブルーノート東京で2018年に開催された「Blue Giants Night」での上原ひろみやケンドリック・スコットとの共演でも鮮烈な印象を残している。

そして2021年1月27日に、待望という言葉が相応しいデビュー作『humoresque』を新興レーベル「Brilliant Works」からリリース。本作で早くも想像の遥か上をいく演奏と作曲の才を披露している。

卓越した鍵盤さばきは言うに及ばず、特筆すべきはアルバム全体の世界観だ。鮮やかな情景を聴き手に想起させる才能が、実際に形になって提示されたことによって、彼女の底知れぬ才能の片鱗を改めて感じた。

梅井の天真爛漫な演奏に、さらにダイナミズムを加えているのが、アルバムリリース前から長く活動を共にする熊代崇人(エレクトリックベース)と橋本現輝(ドラムス)だ。熊代は近年、黒田卓也や荻原亮との共演でも注目度の上がる新鋭。橋本は東京を拠点にしながら、地元関西のシーンでも旺盛に活躍中。山中千尋からの信頼も厚い。

左より、橋本現輝、梅井美咲、熊代崇人

煌びやかな旋律が躍動する“Seek”、熊代のベースソロも大きな聴き所となっている“Of a river, a small murmur”や、シリアスな曲展開とタイトな演奏が光る“Crown Shyness”など自作曲の完成度は1stアルバムとは思えないほど高いものが並ぶ。また梅井が敬愛するピアニスト、渡辺翔太の代表曲“North Bird”も梅井によって新たな魅力溢れるテイクとなっている。

今回のアルバムから、ピアニストとしてのポテンシャルの高さはもちろん、コンポーザーとしての類い稀な閃きに感銘を受けた。本作で提示した世界観は、この先どんな広がりを見せていくのだろうか。ジャズにとどまらない稀有な才能がいよいよ世界に放たれた。

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