底知れぬ可能性を持つデュオの魅力が横溢する『Jabuticaba』Jabuticaba(永武幹子&加納奈実)

底知れぬ可能性を持つデュオの魅力が横溢する『Jabuticaba』Jabuticaba(永武幹子&加納奈実)

このデュオの名前、よほど植物に詳しい方でないかぎり、すらすらと読めないのではないだろうか。何度かその字面を凝視しながら読み方を認識した頃、すっかりこのデュオのサウンドに魅了されている。これも「Jabuticaba」(ジャボチカバ)の計算なのだろうか、いやそんな打算はこのデュオにきっとなく、ありのままの自然体な所がまた魅力なのだ。

自身のリーダー活動だけでなく、森山威男、峰厚介や増尾好秋といった日本のジャズシーンを作り上げてきたレジェンド達との共演でも異彩を放つ注目のピアニスト、永武幹子

自身がリーダーとなって活動しているカルテット「mawsim」(メンバーは石田衛、杉本智和、吉良創太)や、ピアニスト渡辺翔太とハーモニカの倉井夏樹とのユニット「VUCA」でも積極的に活動するサックス奏者の加納奈実

Jabuticaba(左:加納奈実 右:永武幹子)

それぞれが日本のジャズシーンの最前線で活躍しているが、2017年頃の初共演を機に意気投合。演奏の相性はもちろん、互いに嗜好する音楽性(カーラ・ブレイやウェイン・ショーターなど)が合致し、デュオで定期的に演奏しており、ツアーもすでに経験している。

そんな躍進を続ける2人が現状の集大成としてOWL WING RECORDからデュオの名前を冠したアルバム『Jabuticaba』を2月10日にリリースした。

永武のオリジナル(“桜東風”“Along with You,Sunnyman”)と加納のオリジナル(“Foggy Mind”“Mysterious Dress”)を含む全8曲は直球のジャズサウンドだけでなく、多彩な曲調で聴き手をまったく飽きさせない。

カーラ・ブレイ作の“Wrong Key Donkey”では加納のサックスと永武のピアノがそれこそまるで会話、というか、もっとくだけて、“喋っている”ような親しみやすさを感じる。

“What Kind of Fool am I”では加納の情感豊かなサックスが永武のゆったりと弾かれるピアノに乗って、深く心に訴えかけ、懐かしい想い出を呼び起すような不思議な感覚を覚える。

そのノスタルジックな気持ちを引き継ぎながら始まる“Play Fiddle Play ~ Kary’s Trance”はまさにトランス状態を想起させる急展開に一気に引き込まれ、このデュオのダイナミクスも存分に堪能できる。

美しいメロディと2人の丁寧な演奏が好印象の“Mysterious Dress”や、ラストには永武のレギュラートリオである織原良次(フレットレスベース)と吉良創太(ドラムス)が客演した“Along with You,Sunnyman”も収録された本作は、余すところなく「Jabuticaba」の魅力を収めていると共に、このデュオの底知れぬ大きな可能性をますます感じさせる。

今後、2人はどんな面白い世界観を我々に見せてくれるのだろうか。これからさらに、たしかな幹に豊かな実を実らせるこのデュオから目が離せない。

Apple Musicはこちら

Spotfiyはこちら

ディスクレビューカテゴリの最新記事