溢れる創造力が具現化された、待望の初リーダー作『GARDEN』古木佳祐

溢れる創造力が具現化された、待望の初リーダー作『GARDEN』古木佳祐

大野俊三(トランペット)や山口真文(サックス)、秋山一将(ギター)といった、日本のジャズシーンを担ってきた大ベテランから、熊谷ヤスマサ(ピアノ)、松本圭使(ピアノ)、山田玲(ドラムス)といった中堅、同世代からも信頼の厚いベーシスト、古木佳祐。

ジャズシーンだけでなく、WONKやMELRAWのレコーディングにも参加するなど、彼のベースは多くのシチュエーションでオファーを受けている。これまで数々のアーティストのボトムを支えてきた彼がついに初リーダー作『GARDEN』をリリースした。彼の溢れんばかりの才能を如何なく発揮した力作だ。

アルバムには松原慶史(ギター)、渡辺翔太(ピアノ)、木村紘(ドラムス)とそれぞれ古木と縁深い、才能豊かな実力者が揃っている。古木の表現したい事をしっかりと汲み取り、仔細に創造できる、まさに精鋭たちだ。

(左より、松原慶史、渡辺翔太、木村紘、古木佳祐)

9曲目の“Amazing Grace”以外は全て古木の作曲。ベースだけでなく、ピアノにも造詣の深い古木が生み出す楽曲は、きめ細やかな構成と美しい旋律を持つ。

“Garden 〜prologue〜”から“Filament”の流れで、さっそく彼の太い音色としなやかなビートが躍動する。“Arahimagas”では、力強く堂々と闊歩するような古木のベースが雄弁に歌っている。

表題曲である“Garden”は松原の温かいギターの音色が冒頭から心地良く、雄弁にフレーズが湧き出てくる。続く渡辺のピアノも、きめ細やかなタッチが眼前に広がるような感覚を覚える。これだけ繊細な表現をできるピアニストは稀だろう。木村はバンド全体を俯瞰しながら、曲の展開に応じて、柔らかくサウンドを包んでいく。

“Randy’s City”などで聴けるような、それぞれの演奏の特性を出しながら、ばらける事なく1つの世界観に向かって進んでいく演奏から、バンドの相性の良さを感じた。これも古木のリーダーシップの賜物だろう。

朝焼けの空から徐々に澄んだ青空に変わっていくような時間経過を表したような“Winter Morning”でアルバムは締め括られる。

これまで古木の参加した数々の作品、また実際のライブでその才能は充分に伝わっていたが、それがよりわかりやすく1枚にまとめられた本作で、さらに多くのリスナーの耳に古木の魅力が届くだろう。特に彼の作曲面の非凡な才はアルバムリリースを機に広くジャズファンに認知されることになりそうだ。

ディスクレビューカテゴリの最新記事