天賦の才能が凝縮された“輝かしい”1枚 『THE GOLDEN MASK』広瀬未来

天賦の才能が凝縮された“輝かしい”1枚 『THE GOLDEN MASK』広瀬未来

 威風堂々。今回アルバムを紹介するトランペッター、広瀬未来の演奏を初めて聴いた時の筆者の第一印象だ。

10代から地元神戸を中心に関西で瞬く間に期待のトランペッターとして駆け上がった広瀬は、一時帰国を挟みながら、約10年間ニューヨークで研鑽を重ね、ジャズのみならずラテンやソウルミュージックなどを現地で吸収して帰国。現在は地元神戸に拠点を置きながら、大西順子セクステットに参加するなど全国各地で活躍中だ。2018年には自身のオーケストラを率い、『DEBUT』を発表するなど創作活動も順調である。

 その広瀬がリーダー作としては久々にコンボスタイルのアルバムを発表するとの情報を聞いて楽しみにしていたが、そのレコーディングメンバーを知って、さらに気分が高揚した。

広瀬とフロントを飾るのは、日本のジャズシーンに置ける重要作の数々でその重責を担ってきた山口真文(テナー&ソプラノサックス)、さらに片倉真由子(ピアノ)、中林薫平(ベース)、山田玲(ドラムス)という当代きっての実力派が揃い踏み。

このメンツを見たら期待が膨らまないわけがない。

 全8曲中、5曲を広瀬が作曲。アルバムのスタートを華々しく飾る“The Golden Mask -dedicated to “Tower of the Sun””はリズムセクションの鋭い演奏から始まり、広瀬、山口が加わる瞬間に、さらにヒートアップしていく。冒頭述べたような威風堂々とした広瀬のトランペットに山口も唯一無二のブロウで呼応する。

各者激しい応酬を披露したリードトラックから打って変わって、“September in the Rain”は片倉の瑞々しいピアノが楽曲をリードし、広瀬もまろやかなサウンドで古くから愛されるスタンダードナンバーを見事に表現している。また、現代のジャズシーンの感覚と古き良きハードバップのエッセンスが散りばめられた“Moonrise”は中林、山田のリズムセクションが躍動する、ライブ映えしそうな勢いの漲る佳曲だ。

広瀬が敬愛するフレディ・ハバードの名演も印象深い“You’re My Everything”、南米音楽からの影響も垣間見える“Three Birds”など広瀬の卓越した作曲センス、幅広い音楽性もこの1枚に凝縮されている。

アルバムの最後は片倉とのデュオで“Days of  Wine and Roses”で短くまとめあげる。もっと聴きたい!リスナーにそう思わせて、最後は腹八分目にして締め括る構成も清々しい。

 日本から世界のジャズシーンへ向けて充分にアピールする本作は、広瀬のこれからも続いていく輝かしいキャリアの中でも特筆すべき作品となるだろう。

Apple Musicはこちら

Spotifyはこちら

ディスクレビューカテゴリの最新記事