ライブから遠ざかる日々―今年のブラン・ニュー・ヘヴィーズの来日はないのか?

ライブから遠ざかる日々―今年のブラン・ニュー・ヘヴィーズの来日はないのか?

「ライブが懐かしい?私たちもそう」

最近の”THE BRAND NEW HEAVIES”の公式SNSに、コロナ渦の私たちの気持ちを代弁するかのような一節があった。

2013年からほぼ毎年続いていた”THE BRAND NEW HEAVIES”の来日公演は、デビューアルバム”The Brand New Heavies”から30年のメモリアルイヤーとなる2020年、”おあずけ”となってしまいそうだ。

もはや説明不要のアシッドジャズシーンの最重要バンド”THE BRAND NEW HEAVIES”は、英国郊外イーリング生まれのサイモン・バーソロミュー(ギター、ヴォーカル)とアンドリュー・レヴィ(ベース、パーカッション)、ヤン・キンケード(ドラム、ヴォーカル)を中心としたバンドで、1988年にデビューした。

作品ごとに実力派のヴォーカリストたちがフィーチャーされ、バンドの楽曲にもビジュアル面にも花を添えてくれるのが特徴。楽曲と歌声のマッチングに、メンバーの強い拘りを感じさせる。

昨年、2019年は約5年ぶりの新作『TBNH』リリース直後の来日公演となり、同作に参加した新ヴォーカリストであるアンジェラ・リッチが日本のファン初お披露目となった。

歴代の名曲たちを、先輩ヴォーカリストたちに負けず堂々と歌いあげていく歌唱力はもとより、そのキュートなルックスに魅了されたのがつい最近のことのように思える。

キュートといえば、2013〜2015年に来日した時のヴォーカリストであるドーン・ジョセフは、キャリアに裏付けされた十分な貫禄さえある歌唱力に加え、ライブ感のあるワイルドなパフォーマンスが魅力的であった。

ダンサブルな四つ打ちのビートに合わせてジャンプしまくるのだが、息も乱さずキッチリと歌いあげるタフさと笑顔のギャップがたまらなく良かったのを覚えている。

ちなみに、セットリストはほぼ毎年変わらず、往年のヒット曲を取り揃えたキラーチューンだらけの構成ではあるが、ヴォーカリストが変わることによるフレッシュさと、バンドの進化と共にリアレンジされた名曲たちが、古くからのファンも十分に楽しませる。

ライブの中盤のセクションで演奏される”Spend Some Time”(Brother Sister収録)は、各メンバーのソロパートが楽しめるハイライトの一つだろう。

茶目っ気とセクシーさを兼ね備えたサイモンのギタープレイがオーディエンスを煽り、エレクトリックベースが小さく見えてしまうほど大柄なアンドリューから弾き出される豪快なビートが、ブルーノートをダンスホールに変貌させる。

その一体感からTHE BRAND NEW HEAVIESがシーンの第一線で活動するライブバンドであることをビシビシと感じた。

余談ではあるが、アンドリューのメインベースが、フェンダーや、ワーウィックといったこれまでの愛機からガラッと変わり、フェンダーのセカンドブランドである、スクワイア製のプレシジョンベースになっていたのも、とても興味深かった。というのも、私自身がベーシストだからなのだが、こういった機材の変更からも、バンドの進化に対する新たなアプローチが伺える。

そんな進化の目まぐるしいバンドの2020年バージョンを目撃できないのは残念だが、近い将来、ライブバンドとして更にブラッシュアップされたTHE BRAND NEW HEAVIESの来日を心から楽しみにしたい。

ライブやコンサートから強制的に距離をとらなければないらない昨今ではあるが、これを機に、次回のライブに向けてTHE BRAND NEW HEAVIESの数ある音源をチェックしてみてはどうだろうか?

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