心の機微にフィットする意欲作 『Echoes forever』Trussonic -towa kitagawa trio-

心の機微にフィットする意欲作 『Echoes forever』Trussonic -towa kitagawa trio-

 オリジナリティ溢れる楽曲を数々生み出し、ピアニストとしてもクリアなピアノタッチでの力強い表現が魅力の北川とわ。彼女が自身の楽曲をピアノトリオで表現するために結成した「Trussonic」は2020年で結成5周年を迎えた。それにあたって原点回帰とも言える、トリオの表現力の可能性を追求した新作『Echoes forever』を6月3日に発売した。

 本作はこれまでのアルバム同様に全曲北川のオリジナルでアレンジも担当し、自身の表現する世界観を徹底的に造形している。北川の構築するストーリー性に満ちた楽曲を共に作り上げるのは平原綾香との共演や「PRISM」の活躍でも有名な岡田治郎(エレクトリックベース)、ドラマーには楽曲によって、それぞれが独自の個性を発揮する岩瀬立飛橋本学山内陽一朗を迎えている。このリズムセクションはジャズのみならず、さまざまな音楽シーンで活躍してきた歴戦の強者ばかりだ。豊富な経験と確かなスキルがあるからこそ、北川の要望に+αの要素を加えて応えている。

全編で岡田の盤石のベースが鮮やかなサウンドをしっかりと支え、北川がそれに乗って華麗なピアノサウンドを展開する。緻密な構成、リズムチェンジが随所に張り巡らされても、的確にリズムキープするドラマー陣の素晴らしい演奏も白眉だ。

 冒頭4曲もかなりドラマチックに仕上がっているが、やはり本作の目玉は7編からなる組曲“Forest in the dark”だろう。北川の前作アルバム『Mind Universe』発売後から書き始めたこの組曲は幾多のライブで世界観を成熟させてきた。その成果が本作に遂に収められているのは長らく活動をフォローしてきたファンとしては聴き逃せないポイントだ。この組曲には北川曰く、「困難を乗り越えた者だからこそ、希望の力を得ることができる」というメッセージが込められている。組曲の中にはプログレッシブメタルのパイオニア、ドリームシアター等を好んで聴くリスナーにも大いにアピールする部分があるのではないだろうか。また“6.komorebi”は北川の言う、希望の力に満ちた光を想起させる。そういった視覚的なアプローチにも成果を残すアルバムとなっている。 

 プログレッシブ、ジャズというキーワードを聞くと少し敬遠してしまう方も多いと思うが、「Trussonic」の世界観はどの曲にも主軸に明確なメロディーとストーリー性があり、リスナーそれぞれの心の機微にフィットする楽曲が並ぶ。特に本作は5年間の集大成にふさわしい1枚だ。この楽曲達がライブでどう成長していくのか、今から楽しみだ。

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