ビバップの本流を受け継ぐピアニストの堂々たる1stアルバム 『Long Way to Go』北島佳乃子

ビバップの本流を受け継ぐピアニストの堂々たる1stアルバム 『Long Way to Go』北島佳乃子

バド・パウエル、バリー・ハリス、レッド・ガーランド、ボビー・ティモンズなどジャズの歴史を彩ってきた偉大なピアニスト達。彼らのリーダー作品や参加作を聴いていけば、ジャズという音楽の本質を自ずと見出だす事ができるのではないだろうか。

そういった先人達が作り上げてきたジャズピアノの系譜に名を連ねるであろう期待のピアニストが、今回紹介するアルバム『Long Way to Go』をリリースした北島佳乃子だ。

福岡県出身、母親もジャズピアニストである北島は先述したバド・パウエルやレッド・ガーランドなどを愛聴して育ち、自身のピアノにその影響を色濃く表してきた。現在は東京を拠点に活躍中。本格的なバップスタイルを体現した演奏の素晴らしさは関東エリア以外にも知れ渡っており、2019年にはドラマーの小林陽一氏がアメリカよりヴィンセント・ハーリングやフィリップ・ハーパーらを迎えて行なったツアーメンバーに抜擢され、本場のトップミュージシャン達からも高く評価されている。

その実力を遺憾なく発揮し、さらに広くアピールする待望の1stアルバムは北島と多数の共演で信頼厚いベーシスト、金森もといと共にニューヨークへ赴きレコーディングされた。現地のシーンにおいて長く一線で活躍、ルー・ドナルドソンやDr.ロニー・スミスとの共演で名高いドラマーの田井中福司を迎えたピアノトリオだ。

溌剌としたピアノタッチ、粘り強くブルージーに歌い上げる北島作の“Soul Snappy”は彼女が敬愛するボビー・ティモンズに捧げるナンバー。2曲目のタイトル曲も小気味良いリズムセクションに乗って、軽快なフレージングを華麗に弾きこなす北島の演奏が爽快だ。

バド・パウエル作“Tempus Fugit”ではバップスタイルを得意とする北島のスリリングなピアノに圧倒される。“Estate”や“If You Could See Me Now”といったバラードではブルースフィーリングを織り込みながら、切々と語りかけ、アグレッシブな面との好対照を描いている。緩急が随所に効いた金森、田井中とのトリオワークも見事だ。

 本作は北島のピアニストとしての魅力を余す事なく伝えると共に優れたピアノトリオの1枚に仕上がっている。次回作も大いに期待したい。

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