Puma Blue、朧げな夢

Puma Blue、朧げな夢

夢を見ていた。私は彼の歌声をはじめて聴いたあの夜、夢を見ていたのだと思う。微熱をもった息が耳もとをかすみ、ただそこに夜が横たわっているような、そんな夢を。

プーマ・ブルーことジェイコブ・アレンは、デビューEP『Swum Baby』を2017年にリリースした。哀愁をまとった甘く不器用な歌声に、チェット・ベイカーを思い出したことを覚えている。ローファイで、ダークで、どこかロマンチック。一瞬で虜。 あぁこんなことってあるの?と喜びにも似たため息をついたりして。

There’s a saxophonist called Don Byas who’s really influenced my phrasing when I sing. He’s got this gloopy, caramel sound. “( 歌うときのフレージングは、ドン・バイアスというサックス奏者に影響を受けているんだ。彼はまるで粘っこいキャラメルのようなサウンドの持ち主さ)と EARMILKのインタビューで答えていたけれど、2018年リリースの 「Only Trying 2 Tell U」や 「Midnight Blue」 あたりを聴いていると、まさに、と言わざるを得ない。スロウで甘い憂鬱ってとっても心地よくって危険。鮮やかな景色に滑り込むノイズ、幻想が孤独を包んでいる。

それにしても、エズラ・コレクティヴやユセフ・カマール、 ユナイテッド・ヴァイブレーションズ、 モーゼス・ボイドにアシュリー・ヘンリー、トム・ミッシュ……2017年半ば頃から止まらぬサウスロンドン音楽シーンの勢いは、一体だれが予想できただろう。

甘くて憂鬱な夜が恋しいあなたのそばに、プーマ・ブルーの音楽がありますように。

コラムカテゴリの最新記事