これからジャズを聴く世代に届けたい1枚 「High Ball Party」.PUSH

これからジャズを聴く世代に届けたい1枚 「High Ball Party」.PUSH

ドラマーの西村匠平をリーダーとし、中島朱葉(アルトサックス)、魚返明未(おがえりあみ ピアノ)、高橋陸(ベース)という次世代の日本ジャズシーンを担う面々が集うバンド、「.PUSH」(ドットプッシュ)。親しみやすいポップなメロディーを持ち合わせた楽曲、だけど演奏は手抜きなし、通を唸らすハイレベルな演奏というギャップがこのバンドの大きな魅力だ。2017年、「Part1」でアルバムデビューしてから、関東エリアを中心に定期的に活動。昨年リリースツアーを決行し、名古屋、神戸、和歌山を周って着実に関東圏以外のファンも増やしてきた。

バンドの魅力がさらに花開いた2019年夏リリースのセカンドアルバム「High Ball Party」は全曲メンバー作曲による力作。

冒頭を飾る“ドットプッシュのテーマ”はタイトル通り、バンドの一体感から生まれる力強い音が痛快に鳴り響いている。中島の温もりに満ちたアルトサックスの音色が優しく歌う“Like a Candle Light”、魚返作で彼の真摯なピアノ演奏が光る“いっぽいっぽ”等、2〜3度アルバムを聴くと各曲のメロディーを自然と口ずさめるほどの普遍性を持った楽曲達。西村のキレ味鋭いドラミング、柔軟な発想を持つ高橋のベースの熱量もしっかりと収録されている。

佳曲揃いの中、一際印象深いのが「ものんくる」のボーカル、吉田沙良をゲストシンガーに迎えた“S.A.G.〜始発朝焼け5時散歩〜”だ。彼らのファーストアルバムではインスト曲だったが、本作では見事なボーカルナンバーに生まれ変わっている。曲の持つ世界観を吉田が見事に捉えたこの曲を最後に持ってくるアルバム構成も見事で、シングルカットしても充分ポップスファンにアピールできるほどの上質な1曲に仕上がっている。

 「.PUSH」は結成当初から「ジャズ・気合い・青春」をバンドのキーワードとして掲げてきた。メンバーの平均年齢は28.5歳。そのキーワードが確かに当てはまる世代だと思う。ジャズと共に過ごした青春を気合いたっぷりに表現する鮮度溢れる音は、バンドよりも若い世代に訴えかけるものをきっと多く秘めているはずだ。さらに進化中のバンドの現在地点を記録した「High  Ball Party」で是非このバンドの熱量を感じてほしい。

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